3.クーガーとは?:What is a Cougar?

1. リード

高解像度が“正しさ”に見える時代に、あえて低解像度の曖昧さを主張する。Cougarの絵は、あなたの記憶と感情が入り込む余白を設計し、〈見る〉を“受け取ること”から“関わること”として体験する。個展のタイトルは『72dpiの記憶』。

 

2. Cougarとは

油彩でピクセルを一色ずつ置き、近くでは抽象、離れると写実的な像が立ち上がる視覚体験を設計する画家。

 

3. 中動態的視覚体験とは

能動でも受動でもない、〈自分が像の成立に関与している〉と気づく見る体験。距離や角度、光や時間の変化にあわせ、脳内の記憶が“足りない情報”を補い、像が立ち上がる。ここで観者は受け手ではなく、再構成の当事者になります。

 

4. 解像度主義とは

「解像度」を表現の設計単位として扱い、あえて情報量を絞ることで、視覚混色と記憶の補完を引き出す絵画理論。瞬時にわからない“遅延”が、考える時間と余白を生む。すべてを見せないことは不完全さではなく、思考を導く倫理です。

       

5. 制作プロセスの要点

1)   被写体の撮影と構図決定。

2)   画像を縮小し色を再設計。

3)   1ピクセル=一色をヘラや筆で置く。

 混色はパレット上のみ。視覚混色は鑑賞者の距離の中で起こります。

 

6. 詩(キャプションの例)

「やっと風が吹いてきた」

夏の高い空に/まるで太陽を模しているかのような大きな顔/午後にその長い影を落とすと/満足した子どもの声と共に/1日の終わりを告げる

 

「アートか?アートだ!」

ドラマチックな色の変化やシンプルな形は表現者たちを惹きつける/どこにでもあり特別なものではない/でも彼らが魔法をかけると特別なモノになる

 

「マンハッタンの南へ」

希望と悲しみの歴史を持つ入り口/憩いの場で遠い過去に思いを馳せ/光を高々と上げた女神を探す

 

「1224日」

生命の象徴としての常緑樹/大きな三角形の頂点には象徴となる光/その飾り付けに大人も子供もウキウキ/根元の箱は喜びのワクワク

 

7. Q&A Q&A5問)

Q1. 近くで見ると何が描いてあるかわかりません。
A. 
近接では作品の抽象的な構造を見て下さい。少し後ろに下がって写実的な像を探してください。

Q2. なぜ低解像度なのですか?
A. 
情報をあえて抑えることで、ゆっくりと見ることを促します。そして、記憶と想像力を働かせます。

Q3. ピクセルは手で描いているのですか?
A. 
はい。1ピクセル=一色を手作業で描いています。

Q4. 作品は何を“語る”のですか?
A. 
作品はあなたに語り、あなたの記憶を映します。

Q5. どうやって楽しめばいい?
A. 
想像力を高めて、何が見えるのか、何が見えないのかを探して下さい。そして、ふと像が結ばれる瞬間を体感してください。

 

9. 用語集(簡素な定義)

·      中動態:自分の行為が自分に返ってくる態。

·      総動態:能動・中動・受動がゆるやかに循環する見る構文。(自論)

·      解像度主義:情報量を設計し、記憶の補完で像を生む絵画理論。(自論)

·      視覚構文:像が“できていく”道すじのこと。